振り込め詐欺警察相談窓口 #9110
Vol.10 振り込め詐欺防止啓発キャンペーン最終回
NO!振り込め詐欺

Vol.10不審に思ったらまず
「疑い」「確認」「相談」


県警本部のまとめによると、県内で発生した振り込め詐欺の被害件数は、今年1月から9月末現在で368件、被害総額にして5億285万円に上ります。
手口別に見ると、「オレオレ詐欺」は被害件数98件で約2億4123万円、「融資保証金詐欺」は147件約1億3187万円、「架空請求詐欺」は89件約9393万円、「還付金等詐欺」は34件約3582万円の被害額となっています。
県警生活安全企画課の担当者は、電話でお金の話が出たら、まず「疑い」「確認」「相談」することが最大の防止策と強調します。


県内の動き 警察、金融機関、行政機関連携を強化

平成16年以降の振り込め詐欺被害増加を受けて、各金融機関はさまざまな対策に乗り出しています。チラシやステッカーでの呼びかけや職員への意識徹底により、被害者がATM機で現金を振り込む直前に声掛けをし、被害を未然に防いだケースも多く見られます。中でも大きな動きは、ATM機前での携帯電話自粛の呼びかけの動きが静岡県から始まり、全国的な広がりとなっています。
静岡県では石川嘉延知事が先月、「振り込め詐欺撲滅宣言」を発表しました。県民を被害から守るために警察とともに被害根絶に向け、全力で取り組むことを宣言。また県くらし交通安全室が中心となり、県庁挙げて犯罪不安ゼロ運動を展開しています。「振り込め詐欺」「子供の誘拐・連れ去り」「空き巣などの侵入窃盗」などを3本柱に被害防止に向けて取り組みを進めています。
最近では、他県の警察官や全国銀行協会を名乗り、詐欺で捕まった犯人があなたの名義で不正に口座を開設していると持ちかけ、キャッシュカードの変更を勧めて犯人が自宅まで取りに来るといった手口も出ています。こうした振り込め詐欺の被害拡大を受けて、警察庁は今月10月を「振り込め詐欺取り締り強化月間」として全国の警察が連携し、対策を進めます。このように警察、金融機関、県庁などの行政機関が連携を取り、振り込め詐欺防止対策を行っています。


INTERVIEW

西田公昭氏

静岡県立大学 准教授
1988年関西大学大学院社会学研究科単位取得。2001年に静岡県立大学看護学部助教授、2007年から現職。専攻は社会心理学。日本グループダイナミックス学会常任理事。日本脱カルト協会理事。著書に『まさか自分が…そんな人ほど騙される:詐欺、悪徳商法、マインドコントロールの心理学』(日本文芸社)などがある。


知識のネットワーク構築が最大の防衛策

 「まさか」の過信が危険信号

振り込め詐欺のことを知りながら、多くの人たちが被害に遭われています。手口はどんどん変わっていますが、心理的なだましのテクニックは大きく変わっていません。「うちには電話がかかってこないだろう」「私はだまされない」と自分だけは大丈夫だと過信している人が非常に多いと思いますが、危機は迫っているのです。人間は誰しも思い込みや期待などを重視して判断します。自分が見たいと思うものや見えるだろうと予測するものを見ようとする習慣があります。記憶やイメージをもとに、与えられたデータから物事を推論し、仮説・検証して判断します。その結果、「携帯電話の番号が変わった」とかけてきた犯人を娘や息子と信じ込むと、一度考えたことをなかなか否定できません。まずは自分の判断が間違いないと過信をしないことが重要ですし、最新の犯行手口を知っていると思い込ことは非常に危険です。振り込め詐欺は、インフルエンザと同じで誰にでも襲いかかることを自覚しなければなりません。
振り込め詐欺は相手に思い切ったことを言えないなど、日本人特有の義理と人情を悪用した犯罪です。女性だから、高齢者だからだまされるのはなく、人間味のある人や真面目な人がだまされてしまいます。また、人間は肩書きや権威に弱い生き物です。警察官や弁護士などを名乗る者から契約や裁判など聞いたことのない言葉で巧みに攻められると服従してしまう弱さがあります。


 高校から金融知識の習得を

そこで自己防衛策の一つとして防災訓練と同様にシミュレーションをしてみることです。まず自分の弱点を探し、手口に敏感になって、相手を疑い、ストレスに強くなって、相手の状況に飲み込まれないことです。アンテナを高くし、情報収集のためのリンクをたくさん張ることで構造的な知識を持つ必要があります。一人暮らしの方は、相談できるネットワークづくりをしてもいいでしょう。自分自身の知識を深める、練習をする、多くの人に相談でき、自分がだまされたことを正直に話せる社会づくりが必要です。
振り込め詐欺は単に精神論で対応できるものではありません。根本的な問題として、日本の教育にも大きく関わってきます。まずは契約や債務など金融の基礎知識を高校生ぐらいからきちんと身につけるべきです。知識を持っていれば、犯人から難しい専門用語でまくしたてられても動揺することはありません。高齢になってから知識を貯えることは時間がかかります。十代のうちにしっかり教育をしておけば、防衛能力も備わり、人間観も変わってきます。国を挙げて振り込め詐欺の予防策にお金を投じ、日本全体で長期的な対策を講じていくとこが先決だと考えています。